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zoom RSS The Cider house rules

<<   作成日時 : 2006/10/20 23:58   >>

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今朝、The Cider House Rulesを読了しました。

総単語数 228,395語、普通の長さの小説の3倍近いボリュームで、読み終えるのに1月近くかかりました。今まで読んだ本の中で一番長かったのがMemoirs of a Geishaの186,399語ですから更に4万語以上長い小説で、「読んでも読んでも終わらない〜」と感じながらの読書でした。時として細やかなディテールの説明が冗長に感じるところもありましたが、中盤以降ストーリーが映画と全く違ってきたあたりからおもしろくなりついつい熱中して時間の経つのも忘れて読みふけったこともありました。

あらすじは
1920年代、ホーマー・ウェルスはニューイングランド州メインにある孤児院、セント・クラウズで生まれ育った。その孤児院は産婦人科の病院も兼ねている。院長のウィルバー・ラーチは望まない妊娠をした女性に中絶の手術を行い、中絶が不可能となり、自分で育てられない女性の子供は孤児として引き取って育てていた。
望まない妊娠をした女性達(貧しい女性、娼婦達)の為に当時は違法だった中絶手術を行い、そしてホーマーにお産や手術の助手としてその技術を教え込んだ。
"I expect you to be of use."がラーチの口癖だった。「役に立つ人になれ」と。
しかしホーマーは妊娠中絶には反対で気が進まなかった。
ある日セント・クラウズに若いカップルが妊娠中絶にやってきた。その若い女性キャンディーに一目惚れするホーマー。一緒に来た恋人の男性はリンゴ園の経営者の息子だった。ホーマーはその農場で働くためにセント・クラウズを出て行く。 
ホーマーには同じ孤児院で育ったメラニーというガールフレンドがいた。メラニーはホーマーに「ここを出て行くときは必ず一緒に連れて行ってくれ」と約束をさせていた。置いて行かれたメラニーは裏切られたと思い、ホーマーを追い孤児院を飛び出す。

この本全編を通して語られるのは、妊娠中絶の是非と人が生きていく上でのルールについてです。舞台は孤児院、そして妊娠中絶というとても重いテーマなのですが、この本を読み終わったときに感じたものは、「なんと愛に満ちた小説なのだろう」ということでした。

unwanted babyとして生まれてきた子供達、しかし生まれてきた後はDr.ラーチとナース達の献身的な愛に支えられて日々を過ごし、新しい家庭を見つけてもらい、もらわれていく。

更に当時の恵まれない女性達(特に娼婦達)は妊娠したときに、なんとか中絶しようと怪しげな中絶薬を飲み、死に至ってしまう、そんな状態に怒りを覚えたラーチは中絶することで女性の人生を守り得るという強い信念を持っている。しかしunwanted babyとして生まれてきたホーマーは自分自身を考えるときに、中絶にとても賛成できない。そんなホーマーを愛を持って送り出すDr.ラーチに父親としての眼差しを感じます。

更にホーマーを追いかけるメラニー。彼女は乱暴で暴力的な女性と読者に思われるように表現されていますが、暴力に至る過程には人としてのルールを踏みにじった者への怒りの結果であり、物語の最後に示される彼女の思いは、人として生きて行く上での一番大切なルールは何かをホーマーに気付かせてくれるものです。

タイトルとなっているThe cider house rulesはリンゴ園の収穫時にやってくるmigrants(出稼ぎ者)達の宿舎の(cider house)壁に書かれたルールなのです。

ベッドでタバコを吸うな。
屋根に登って酒を飲むな。等のどうでも良い、誰も守らないルールなのです。

しかし、書き出されてはいなくとも、cider houseとして成り立つための暗黙のルールが有り、同じように人として生きるための、Lawではなく ruleが有ると、この小説は語っているように思いました。rawは破ってもruleは犯してはならない、と強く強く訴えていると感じました。

以前、この小説を映画化した「サイダー・ハウス・ルール」を見たのですが、映画のほうは前半までは原作を忠実に再現していますが、後半は原作と全く違います。
映画は原作の美味しいところを摘み取って作ったという感じです。やはり細かな思い、愛、信義などは原作の方が良く伝わってきます。これだけの内容を2時間に収めるには最初と最後だけを取り上げると言うことになるのでしょうか。

英文はそれほど難しくありません。ただ医療用語がかなり出てきますので、それさえ辞書で引けば無理なく読めると思います。

The Cider House RulesThe Cider House Rules
John Irving

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The Cider House Rules

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コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
初めてコメントさせていただきます、nikoと申します。よろしくお願いします。私も「Cider House Rules」は大好きな本です!特にメラニーの生き方に魅かれました。最後にとても泣かされたことを覚えています。本が厚くて最初腰が引けましたが、一ヶ月以上かかって読み終わったときは、本当に読んでよかった!と思いました。これからも、楽しみにブログ拝見させていただきますね。
niko
URL
2006/10/21 02:07
感想楽しみにしていました。いつもながら、リウマチばあちゃんさんは、本当に深くていい感想を綴られますね!随分内容を忘れていることに気が付きました。読んだ当時は大学生だったのと、日本では望まない中絶、無理に妊娠させられたり、などのときは、中絶することが認められているという雰囲気が社会にあるので、なぜ小説の世界ではそんな当然の権利が分からない社会なのだろう、と腑に落ちなかったのです。でも大人になって、宗教の背景があるのだと気が付きました。ブッシュ政権も、中絶に反対の立場なんですよね。アメリカという国では、まだ現代的なテーマのようです。
アカデミー賞で脚本賞を取ったアービングが、中絶を認めるべきだ、というようなコメントをしていたのです。社会的なメッセージがアメリカでは強く感じられる小説でもあるのだな、とその時に思いました。また読み返してみようかな、と思います。
YJ
2006/10/21 09:53
いつも感想を読むのが楽しみです
お姉さまが良かったと言えば、良いのだわ(笑)と思ってしまいます
きちんと原作がご自身の中で消化されてるのが凄いです

私もFantastic Mr.Foxを読み終えました
意味のわからない単語を飛ばして読んだので速かったのですが・・・7〜11歳ぐらいの子の本なので、絵も時々あるでの想像が働き大半理解できてると思います
知恵と温かい心の持ち主のきつねMr.Foxが主人公で笑わせてくれました
手が治ったら、単語を調べなくちゃと思っているのですが・・・
BadgerとMoleを覚えなくてもいいのだけれど、覚えちゃいました(笑)
とまる
2006/10/21 21:49
nikoさん
初めまして。今、nikoさんのブログへおじゃましました。
アメリカにお住まいなのですね。そして本好きだとのこと、nikoさんの本の感想を読ませていただきます。これからもどうぞよろしくお願いしますね。

”cider house・・・”のメラニーには驚きました。最初は「なんなの、この子」と思いながら読んでいたのですが、読み進むに連れて主要登場人物の中で、一番人を裏切らない生き方をしているのはメラニーではないかと気付き、彼女の最後の言葉に私も泣けてしまいました。
リウマチばあちゃん
2006/10/21 23:59
YJさん
とても心暖まる本でした。すごく悲惨な状況を書いている本なのに出てくる人皆、愛があふれた人ばかりで読み終わった後はとても清々しい気持ちになりました。
アメリカでは今なお妊娠中絶はとても重いテーマで、特に最近の保守的なブッシュ政権の下では、否定的な意見が強いように思われます。宗教的な考えが根底にあり、ホーマーの言葉”I believe the fetus has a soul.”にそれが表されているのではないかと思いました。しかし、Irving自身はpro-abortionなのでしょうね。
リウマチばあちゃん
2006/10/22 00:19
こんばんは!私も、この映画を見ました。映画を見ただけでも、テーマが重いなと感じていました。
きっと原作だったら、もっと細やかなところまで描かれているんだろうなとも思っていました。
あらすじのところだけは、あえて読みませんでした。いつか、私も原作が読めるようになりますように!(かなり長い道のりのような気がします。)
Blogを始めて以来、少し走りすぎたので、今はゆっくり!と自分に言い聞かせています。
リウマチばあちゃんさんの記事を読んで、感動しています。
hoo
URL
2006/10/22 00:19
とまるさん
>きちんと原作がご自身の中で消化されてるのが凄いです

ありがとうございます。英語の本を読むときは、日本語を読むときと比べて時間がかかるので、じっくり考えながら読めるからでしょうか。日本語を読むときはすごく早く読んでしまうので、文の中に込められたメッセージを深く考えることがないのかも知れません。
英語のほうが考えながら読んでいると、最近気が付きました。

>手が治ったら
手の腫れはいかがですか。早く直ることを祈っています。
badger 知らない単語です。moleは分かりますが・・もぐら?
リウマチばあちゃん
2006/10/22 00:38
hooさん
こんばんは。
この映画、主役のトビー・マグワイアとシャーリーズ・セロンが初々しくて、可愛くて、とっても良かったです。
でも、原作はかなり違っていました。原作の方がもっと辛いのですが、その分より感動的なのですよ。
私もこんなに長い小説を読んだのは初めてで、読み終えたことに自分自身感動しています(苦笑)
りうまちばあちゃん
2006/10/22 00:47
左手の打撲は、あと一、二歩ってところですが、右手の中指は、しわが少しあるぐらいなので、まだ固定されたままです
腫れがひいたらリハビリをするそうですが・・・どんなんか想像できません
まぁ、少し不自由ではありますが、ほとんどの事は出来ますし、こうやって書き込みも(笑)出来ます

badgerは、「あなぐま」です moleは正解です
今度は、THE MINPINS を読み始めました
3〜7歳対象の絵本です(それなりに字のある)
ロアルド・デールの本が気にいってしまったので、もう少し買おうかなと思います
とまる
2006/10/22 14:42
すごい量の読書量ですね。
私もはやくそれくらい読めるようになりたいと思って、毎日頑張ってます。
応援しておきました。
うぃだーいん英語
URL
2006/10/22 16:53
すいません、間違えました。
前のコメントのURL他のサイトの方のでした。
うぃだーいん英語
URL
2006/10/22 16:57
とまるさん
腫れが引いてきて良かったですね。骨折していたのでしょうか。
badgerはアナグマですか。覚えました。(でもきっと1週間経つと忘れている。涙)ロアルド・デールの本この間、薄い本ですが1冊読みました。すごくひねりのきいた本で、大人が読んだら笑えるのだけれど、これ子供に読ませていいの?などと思ってしまいました。
リウマチばあちゃん
2006/10/23 00:08
うぃだーいん英語さん
はじめまして。応援ありがとうございました。
うぃだーいん英語さんのブログにもおじやましますね。
下の方が正しいURLなのですね。
リウマチばあちゃん
2006/10/23 00:15
一年以上前の記事にコメントするのもどうかと思いましたが、私の大好きな作品について書かれて、そして同じようにメラニーのいない映画にご不満を持たれていたことに共感し書いてしまいました。メラニーのいないサイダーハウスなんて、ジュリエットのいないロミオとジュリエット、みたいなものですよね? アービングのインタビューを読んだのですが、その中で「メラニーのキャラが強すぎて映画のような時間に制限のあるものの中ではとても彼女を登場させることはできなかった」みたいな説明をしていました。 アービングのものはほとんど読みましたけど、これとやはりガープが最高ですね。 両方共すでに十回は読み直しています。
あと、オースターも好きなのですけど、ムーンパレスは読まれていらっしゃらないみたいですね。 ジマーも主人公の友人としてでてきますよ。   
JOE
URL
2007/11/27 20:03
JOEさん
とんでもない。どんどんコメントください。
そうでした。この映画はアーヴィング自身が映画の脚本を書いたのでしたね。新たに自分で映画用の「サイダー・ハウス・ルール」を書き直した、という感じなのでしょうか。でもやっぱりメラニーは登場させて欲しかった。メラニーの存在がこの本の良さだと思うのですが。私も「ガープの世界」は日本語で読みました。ただアーヴィングの小説はやたら長いので、日本語で読んでも大仕事です。内容が濃くてさぁーっと読めないのですもの。立ち止まり考え考え、の読書になってしまいます。最近新しい本の邦訳が出ましたね♪
オースターの「ムーンパレス」まだ読んでいません。そうですよ、オースターの小説って別の本の登場人物が出てくるのですよね。「ニューヨーク3部作」なんて本人まで出てきた。
リウマチばあちゃん
2007/11/28 00:08
リウマチばあちゃんさん、こんにちは。こちらの記事、改めて読まさせていただいて、内容を懐かしく思い出しています。今回、二冊目のアーヴィングに挑戦しました。「A prayer for Owen Meany」を読んだのですが、またまた字が多くて内容が濃くてゆっくりゆっくりの読書になってしまいました(*^^*)。つきましては「The Cider house rules」も合わせて知っていただきたいなあと思い、リウマチばあちゃんさんのこちらの記事をずうずうしくも私のブログで紹介させていただきました。すみません…。お時間のあるときでもちょっと覘いてくださったら、嬉しいです☆
niko
URL
2008/03/20 07:00

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