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<<   作成日時 : 2008/01/13 00:25   >>

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村上春樹の「走ることについて語るときに僕の語ること」を読了。

走ることについて語るときに僕の語ること走ることについて語るときに僕の語ること
村上 春樹

文藝春秋 2007-10-12
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日本語の本は、文庫本を除いて、図書館から借りて読んでいる。1ヵ月に2度、飽きずに図書館に通い、何かしらの本を借りてきて読んでいる。目当ての本が貸し出し中でも、代わりに眼に付いた本を借りてきて読む。思いがけずに惹かれる本に出会う事もあるが、最後まで読む根気が続かずに、放棄してしまう本もあるのだけれど。

昨日も図書館へ行き、数冊借りてきた中の一冊がこの本。
目当ての本が貸し出し中で、代わりに新刊書コーナーに有ったこの本が眼に付いた。

村上春樹は私と同年代。初めて読んだのは20年位前、「風の歌を聴け」だった。
どんなストーリーだったのか今ではよく覚えていないのだが、大学生の話だったように思う。

どんな本でも、その著者の本を初めて読む時は、感覚的に「あっ、この作家キライ」と感じる時と、「悪くないなぁ〜」と思える時とのどちらかなのだ。「この作家キライ」と感じたら二度とその人の本は読まない。村上春樹は「悪くないなぁ〜」だったと思う。だからといって「だ〜い好き!」というほどに感じ入るものも無く、図書館に入れば読み、入らなければ自分で買ってまでは読まない作家だった。

村上春樹の小説は、読みやすい文章の中に「現実の世界」と「非現実の世界」とがワープしているような感覚があって、深く読めばどんな風にも捉えられるという、不思議な小説が多い。
これは何かの比喩なのか、と深く考え、読み解くほどのインテリジェンスの無い私、表面的に書かれていることを感覚的に感じ取る程度の理解しかできない。
「でも悪くないよねぇ〜」的な読み方しかできなかった。(汗)


前置きが長くなったけれど、この本を読んで感じたことは

「村上さんって何事にも真面目なのねぇ」

村上さんは作家として文を書いて生きていこうと決意した時から、「走る」ことを続けている。
書くことと走ることを同時進行でやってきた村上さんだから、「走る」ことを書くということは「書く」ということを語ることでもある。作家だから小説を書くことに真面目になるのは当然だけれど、走るということにこれほど真剣に取り組んでいるとは知らなかった。

小説を書き続けるためには健康な肉体が必要だ、と言う村上さん。若いうちはある程度の才能だけで書けるのだが、年をとるに従って物語を創造する、という集中力・持続力を必要とする作業に耐える力が失われていく。それを維持するためには、それに耐えられる肉体が必要だという。
月に300キロのランニングをこなし、フルマラソンの準備をする。しかし加齢と共に衰える体力には逆らいようがない。その事に目をそらさずに、かといって諦めもせずに出来るだけの準備をし、マラソンレースに挑む。更には北海道で「100キロ、ウルトラマラソン」にも参加、トライアスロンにも挑戦している。

走るという過程を通して、村上さんは自分に向き合っているのだろう。

生きる=書く=走る、である自分自身に真摯に向き合い、自分の作家としての新たな可能性を探り続けていく姿勢に、感心させられた。

レースに参加する時に、自分に果たしている目標は

ゴールすること。
歩かないこと。
楽しむこと。

これは即ち、小説を書く時の目標でもあるのではないか。

走る自分を書きながら、作家である自分を深く見つめさらけ出している。
アーティストであるために、不健康さを体現しているような芸術家が多い中、健康であることで良い作品を書き続けようという、とても真面目な作家のように思えた。

《小さな事だけれど、一つ残念だったことは「サロマ湖100キロマラソン」の章で北海道湧別町を「わくべつ町」とフリガナをしてあったこと。正しくは「ゆうべつ町」。北海道の人間として固有名にわざわざ間違えたふりがなを振ってあったことは悲しい。これは出版社の校正ミスだと思うのだけれど》

適度な距離感を持って、村上文学を読んできた私にとって、意外な村上春樹を知った本でした。
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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
村上春樹の本は「ノルウエーの森」を英文で読んだだけだったのですが、ここに書かれているのと同じように感じました。
でも今日、村上さんの一面を知ることができてとてもよかったです。今度読むときは、違った読み方が出来そうと思いました。
今年もとても楽しみに読ませて頂きます!

さくら
2008/01/13 08:04
同感です
読んだ本が良かったと思うと、その作家の別の本も読みたくなりますもんね
それで、どっぷりダ―ルにハマってしまった私(笑)
「HOLES」を読み終えて、またまたダールを読んでいます(爆)
とまる
2008/01/13 14:56
入門は「マイロストシティ」(フィッツジェラルド)でした。以前は極めて熱狂的なファンでした。私のお気に入りは、「遠い太鼓」と「ダンスダンスダンス」です。
逆に、「ノルウェイの森」あたりで、距離をおくようになったかも。
久しぶりに、「風の歌を聴け」を取り出して読んでみようかしら。
バードランド
2008/01/13 22:10
さくらさん
「ノルウェィーの森」を英語で読んだのですね。
NHKラジオ講座のテキストに、日本文学の英訳を読もうというコラムがあって、今一番外国で読まれている日本人作家が、村上春樹だと書かれていました。確かに彼の外国での人気はすごいらしいですね。
日本文を英訳する場合、抽象的な日本文を表現する時に、ある程度具体的な英文に置き換えることがあって、その為に日本文より分かりやすい事がある、と書かれていました。なるほどなぁ、と思いました。英文で読むことで分かる場合もありそうですね。村上の本などは特にそうでしょうか。
リウマチばあちゃん
2008/01/14 00:40
とまるさん
「HOLES」読み終わったのですね。おめでとうございます!
そしてまたダールに戻ったのですか。次はなんでしょうか。好きな作家を次々と読んでいく楽しさは、応えられませんよね。
Happy Reading!
リウマチばあちゃん
2008/01/14 00:47
バードランドさん
翻訳物から入ったのですね。村上春樹ってすごく沢山の翻訳をしているのですよね。
私が読んだの翻訳物は昨年発売された「ロング・グッドパイ」だけなのですが、村上の翻訳ってすごく原文に忠実で、昔私が読んだ「長いお別れ」とは少し感じが違いました。翻訳本って訳者の個性が強く出るのですね。

この本のタイトルの素となった、村上訳レイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」が図書館にあったので、今度読んでみようと思っています。
「遠い太鼓」は読んでいないのです。図書館にあるようなので、今度読んでみたいです。この本は村上好きの人に評判が良いらしいですよね。でも、村上本は人気なので、いつも貸し出し中でなかなか読めないのですけれど。
リウマチばあちゃん
2008/01/14 01:03
こんにちは。村上春樹さんって本当に不思議な方だなと思います。作品を読むたびに多方面の才能がおありになるのを感じます。私は安西水丸さんが挿絵を担当されている一連のエッセイが好きです。「ノルウェーの森」の英訳の話が↑ででていましたが、その「ノルウェー」の英訳本は2種類あります。Rubinという人のとBirnbaumという人のと。かなり英語の構文や語彙が異なり、全体としての印象も違った感じです。翻訳って面白いような逆にこわいような。だからやっぱり英語で書かれたものは、英語で読んでみたいなと思います、たとえ読解力が不足していても。
kittycat
2008/01/14 10:15
今度のは「The Witches」という本です
魔女が出てくるお話のようですが・・・
魔女は、普通の人間の女性の姿をして、普通の家にすんで、普通に仕事もしてるそうです
孫がお祖母ちゃんから魔女についてのお話を聞いてるところなんですけど、どうやって魔女だと見分けるのか?って言うことでお祖母ちゃんがお話するんですけどね
本来の魔女はハゲなんだそうです(笑)でもかつらをかぶっているとか
指先がかぎ爪になってるから家の中でも手袋をしてるとか・・・です
お話が、どんな風に展開していくのか楽しみです
とまる
2008/01/14 21:56
kittycatさん
そうなんですよ。本当に才能豊かですよね。エッセイも面白いですし、オーム真理教の被害者や信者をレポートして本にしたり、翻訳も数多くしているし。こういう精力的な仕事ぶりは、こうして体力を鍛えているからなのか、と感心しきりです。

「ノルウェーの森」は二通りの翻訳があるのですか。知りませんでした。私はまだ日本の小説を英訳したものは読んだことがないので、どんな感じになるのか興味深いです。翻訳者の個性で原作も違う様相を見せるのでしょうね。
私も英語の本は英語で読みたいです。理解力はまだ不十分なのですが、書かれている英文から雰囲気は感じ取れような気がします。その作家の持つ色・香りが行間から漂ってくるような気がして、やっぱり原書で読むのが一番です。
リウマチばあちゃん
2008/01/15 01:09
とまるさん
魔女のお話ですか。
本当はハゲの魔女・・なんだかダールらしい話ですね。
どっぷりとダールに浸かって、楽しんでください。
リウマチばあちゃん
2008/01/15 01:16
恥ずかしながら、村上春樹さんの本を読んだことがありません。
とても気になっている作家さんではあるのですが・・・。
色んなブロガーさんが村上さんの作品のコメントを残されているので読む価値ありですね!

でも、フルマラソンまでこなされるなんて以外でした。
イメージ的に、インテリで部屋にこもってコツコツとPCに向かっている感じだったのでw

地名の件、こんなに流通する本なのに、しっかり調べないのは大きなミスですね。
その地に住んでいる人達は、がっくりですよね。
ハルミズキ
URL
2008/01/15 11:16
ハルミズキさん
村上春樹って好き嫌いの好みが別れる作家かも知れません。文章が分かりやすく、読みやすいのですが、その軽さの中にしっかりと意味を持たせている比喩があるようで、うつかりとは読めない気がします。それに比べてエッセイは、面白いし気負いなく読めると思います。

村上さんの体は、すごくシャープに鍛え上げられていますよ。不健康なイメージは全然しません。走る作家、とでも言いましょうか。。
もし興味があれば大ヒットの「ノルウェーの森」辺りから読んでみてはいかがでしょうか。
リウマチばあちゃん
2008/01/16 00:20
TBさせていただきました。

 
著者のマラソンと執筆に対する挑戦する姿勢。
ストイックな生活とベストセラー作家という職業の関係で
著者をより理解できた気がします。
タウム
URL
2008/03/01 17:18
タウムさん
トラックバックありがとうございます。

そうですね。村上さんの文章を書くという事への真摯な姿勢が伝わってくる本でした。これを読んでより村上春樹が好きになった気がします。
リウマチばあちゃん
2008/03/02 02:01

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