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昨日6月17日"Saturday"を読了。 現代イギリスを代表する小説家として有名なIan McEwan、ぜひ読んでみたいと思っていた。 最高傑作と言われているのが"Atonement"だろうが、昨年映画化されたことから(邦題「つぐない」)、"Atonement"は映画で楽しむことにして今回選んだのがこの"Saturday"。 この小説、語彙が難しく読むのにかなり苦労した。主人公Henry Perowneは脳外科医。非常に微細に脳外科手術が描かれるのだが、脳の細部を現す単語など全く馴染みがなく、電子辞書にさえ載っていない。日本語でだって脳の部位を示す言葉など読んでも分かるはずもない。第1章を読み終えたところで、分からない単語にこだわるのは止めて(特に脳に関する単語)、飛ばし読みで読み終えた。
Henry Perowneは優秀な脳外科医。研修医を従え脳外科手術に追われる日々だ。 2003年2月土曜日のロンドン、まだ夜が明けぬ午前3時40分、ふと目が覚めたヘンリーは寝室の窓辺に立ち薄暗い通りを眺める。その時、火を噴きながら上空を横切りヒースロー空港へ向かう一台の飛行機を目撃する。 テロなのだろうか? ヘンリーの心に不安がよぎる。9.11以降、漠然とした不安が人々の心を覆っているロンドン。今日はイラク侵攻反対の大規模デモが予定されていた。朝、同僚医師とのスカッシュを楽しむために出かけたヘンリーはデモ隊と遭遇する。交通規制された道に進入したヘンリーは一台の車と接触し、相手と諍いになってしまった。その事がのちに大きな恐怖の引き金となる。 何一つの汚点が無いようなヘンリーの生活。優秀な脳外科医として活躍し、妻は弁護士、23才の娘は新進の詩人として賞を取り、もうすぐ詩集が出版される。19才の息子は才能豊かなブルースのギタリストとして注目されている。48才になった今でも妻を深く愛していて、夫婦仲は円満。 まるで絵に描いたような幸せな家庭ではあっても、9.11以降の「現代」を覆う不安から逃れることが出来ない。幸せで安全な家庭から一歩外に出たら、そこでは何が待ち受けているか分からないのだ。いや、幸せだと思っている家庭の中にだって、小さな不安は潜んでいるのだ。 文学を愛する娘は、恐ろしいほど文学を理解できない父に文学を教えようと躍起になっている。なにしろヘンリーときたら文学を読む暇があったら医学の勉強をする方がずっと有益だ、と頑なに信じているのだから。そんな娘が今日半年ぶりに戻ってくる。楽しいはずの時間が言い争いになることだってあるかもしれない。認知症で施設にいる母を訪ねると心が重くなる。高名な詩人で偏屈な義父は、同じく詩人である孫娘と仲違いしたままだ。今日こそ二人の関係を修復させなければと気が重い。 脳外科医ヘンリーのある土曜日の一日を微細に描き、現代社会が抱え込まざるを得ない漠然とした「不安」と「不安定さ」を文学の力で示してくれる。そして「文学」に価値を見いだせない男が、最後は「文学」の持つ力で現実に起こった恐怖から救われることになる。少々皮肉なこの展開に、「文学」を読むことが大好きな私はニヤリとしてしまう。 脳外科手術の場面を事細かに表現し、「本物の脳外科医が書いたとばかり思った」と言わしめたこの小説。その緻密さのせいで、手術場面や医療現場で使われる単語は知らない単語ばかり。結局分からない単語は飛ばし読みで読み上げたので、どこまで正確に読み込めたか自信がない。 邦訳はこちら。↓
日常に潜む怖れを9.11以後の現代を舞台に細やかに書いたこの小説、最終章の温かさで心地良く本を閉じることが出来た。英語は難しいけれど、読む価値の充分ある本だと思う。 ページ数、289ページ。 総単語数、91,411語。 今日も応援いただけると大変嬉しいです。 ↓ 人気blogランキングへ有り難うございました。 | ||||||||
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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Water / 水
I was searching for water for a long time Looking for water’s shape, finding it has none Without knowing what water is I was searching for water for a long time Falling rain and wellsprings Did not constitute water to me Without knowing what wa... ...続きを見る |
☆ OVER THE SKY ☆ ... 2008/06/20 11:08 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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電子辞書にさえ載っていない。ってことはネイティブでも知らない位かも知れませんね。作者もわざと難解な語句を使うことで効果を狙っていたのかも。 |
けん URL 2008/06/19 07:45 |
この本に書かれている「現代の不安」、それはそのまま日本も共有しているものかもしれませんね。とくに今月に起きた事件や自然災害のことを思うと、テロに対する漠然とした不安はそのまま、日本人が持つ「怖い世の中になった・何がおきるか分からない」という不安と共通しているように思います。きっと、とてもタイムリーな本なのかもしれませんね。 |
michi URL 2008/06/19 21:09 |
けんさん |
リウマチばあちゃん 2008/06/20 00:09 |
「つぐない」も含めて評価が高い作家のようなので、読んでみたいのですが、日本語でもムリそうです(^_^;)お姉さまはこんなクオリティの高い作品も知らない単語を読み飛ばしつつ読み通すことができるんですね。改めて尊敬します。 |
Lily 2008/06/20 00:10 |
michiさん |
リウマチばあちゃん 2008/06/20 00:28 |
Lilyさん |
リウマチばあちゃん 2008/06/20 00:45 |
当時入院して手術後だった私(脳ではないです)にはSaturdayの病院の場面は臨場感がありました。ただこのオトーサン(Perowne氏)ってスーパーマンっぽくありません?たったの土曜一日でこんなにいろいろ起こると、普通だったらヘロヘロですよ。 |
Rumiko URL 2008/06/20 22:03 |
Rumikoさん |
リウマチばあちゃん 2008/06/21 01:07 |
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